EM環境学習から学んだこと

三重県四日市市大谷台小学校

          石川 順子 教諭

   

1.はじめに

 本校では,平成14年度からの総合的な学習の本格実施に当たり,平成11年より総合的な学習を試行し,研究を続けている。中でも,環境をテーマにした総合的な学習や低学年の生活科の授業については,元PTA会長の小川敦司さん(NPO法人イーエム市民広場代表)に,EMによる環境浄化や土壌改良の方法を教えていただき,環境教育に取り入れている。

 一昨年度は,総合的な学習で,6年生が地域を流れる米洗川の水質浄化に取り組んだ。本校は3年前からEMによるプールの水質浄化を試み,次の水泳時期になるまでプールをビオトープ化してメダカを育てている。増えたメダカを学校近くの米洗川に放流したいという子どもの願いから出発した活動であるが,メダカが住めるようなきれいな川にしようと,米洗川の浄化運動に広がっていった。

 昨年度は,小川さんを特別非常勤講師として学校に招き,56年の総合的な学習の時間を計画的に使って,EMについてのいろいろな指導を受けることになった。ここにその実践を紹介する。

 

2.EMによる環境学習 

 小川さんやイーエム市民広場のスタッフが月2回本校を訪れ,EMとは何かから,EM発酵液・EMだんご作り,EMを使った地域や学校の取り組みの紹介などの授業を行った。

 米のとぎ汁はそのまま捨てれば環境を汚してしまうが,EM発酵液として利用すれば,汚染や悪臭を分解したり,土壌の改良を促したりすることを教わり,子どもたちは環境への意識を少しずつ高めていった。子どもたちが家庭から持参した米のとぎ汁に,EMと糖蜜をペットボトルに入れて混ぜ合わせると,10日ほどで発酵液は完成。案外簡単に環境に役に立つEM発酵液ができることに子どもたちは喜び,途中のガス抜きの作業も興味を持って行った。作ったものは,トイレ掃除や雑巾がけ,水槽の水質保持,

学級園の土壌改良等々,学校生活や家庭生活の中で大いに利用している。

 このEM発酵液のよさを下級生にもぜひ広げようと,6年生と4年生,5年生と3年生がペアになり,上級生から下級生へ作り方を伝授する活動にも取り組んだ。この活動は発酵液だけにとどまらず,興味関心をもった下級生の頼みで,ぼかし作りやEMだんご作りの伝授まで広がっていった。下級生といっしょに楽しんで活動できたひと時であった。上水道や下水道の学習をしている4年生は,安心して飲める水を求めるにはまず河川の浄化からと,作った発酵液やEMだんごを米洗川に投入しに行った。その他,12年生も生活科で日ごろからよく出かけている垂坂公園の池をEM発酵液できれいにしようという活動を組み入れていった。

 

3.三校合同の「堀川EMジャブジャブ作戦」

 山手中学校1年生と海蔵小学校5年生,そして大谷台小学校の6年生が,それぞれの校区にまたがって流れる堀川をきれいにしようと,合同で実施することになった取り組みは,名づけて「堀川EMジャブジャブ作戦」。海蔵川の支流で生活廃水が流れ込む堀川は,藻がはり,洗剤の泡がたち,見た目にもきれいとはいえない状態で,子どもたちは果たしてどれだけ効果があるものか,半信半疑でスタートした活動であった。

 しかし,イーエム市民広場や自治会,またPTAの協力のもと,計3回にわたり,EM発酵液やEMだんごを投入した結果,堀川は少しずつ藻が減り始め,水の透明度も増してきたようである。決して即効性があるわけではないが,水質の変化は子どもたちの目にもはっきりと感じられた。また,環境学習は,地域やPTAなどと共に力を合わせて取り組むことで,より一層効果が期待できることも学んだことである。

 

4.EM環境学習で子どもたちが学んだこと

 1年間にわたるEMによる環境学習を終えて,子どもたちからはさまざまな感想が出された。

 

 @ EMのパワーにびっくり!

    河川やプールの水質浄化,生ごみの堆肥化,土壌改良,トイレや流しのにおい消し・・・と,子どもたちはEMの持つパワーを改めて実感したようである。EM液に入れた鉄釘が錆びない実験も子どもたちの興味を引き付けるものであった。

 A 継続は力なり

    河川浄化などは決して即効性があるわけではないが,1年を通した取り組みの結果,土壌や水質に少しずつ,しかし確実な変化が現れてきている。子どもたちも,これらの変化を目の当たりにし,継続的な取り組みの必要性を感じている。12回の単発的な活動に終わらず,堀川が,魚が住めるきれいな川によみがえる日まで,中学生になってもこの活動を続けていきたいという願いを多くの子が持って卒業していった。

 B 環境問題が身近に

    今までは環境問題というと,子どもたちの手には大きすぎて,できることも限られてくることから,意欲的に継続して取り組もうとする子どもたちの姿が見られなかった。しかし,EMを学んでからは,自分たちにできるところからの環境改善に気軽に取り組むことができ,環境問題がより身近に感じられるようになった。自分たちが作ったEM発酵液で,身の回りがどんどんきれいになっていくことを子どもたちは素直に喜んでいる。そして,環境をこれ以上汚さないようにしようという意識も芽生えてきている。

 

 EMのよさをより多くの人々に知ってもらい,みんなで一緒に身の回りや地域の環境改善のためにEMを利用していきたいというのが,子どもたちの思いや願いでもある。

環境ボランティア活動として,子どもたちが,これからも米洗川や堀川の水質浄化活動に継続してかかわっていくことを期待している。